実家や故人の部屋を片付けることになり、業者に頼むといくらかかるのか見当がつかず困っている方は多いと思います。
先にお伝えすると、遺品整理の料金は間取りだけでは決まりません。
同じ2DKでも、荷物の量と搬出の条件で金額は倍以上変わります。
この記事を読むと、相場表をどこまで信じてよいか、見積書のどこを見れば適正か判断できるかが分かります。

記事のポイント
- 相場表は目安で、同じ間取りでも倍以上変わる
- 金額を動かすのは荷物の量と搬出の条件
- 「一式」だけの見積書は追加請求の温床になる
- 同じ条件で2〜3社に現地を見てもらうのが近道
遺品整理の費用相場は間取りだけでは決まらない
まず、よく見かける間取り別の相場を確認します。
下の表は2026年8月時点で確認できた目安です。
| 間取り | 費用の目安 | 作業人数 | 作業時間 |
|---|---|---|---|
| 1R・1K | 3万〜8万円ほど | 1〜2名 | 1時間〜半日 |
| 1DK・1LDK | 5万〜15万円ほど | 2〜4名 | 2時間〜1日 |
| 2DK・2LDK | 10万〜30万円ほど | 3〜5名 | 4時間〜1日 |
| 3DK・3LDK | 15万〜50万円ほど | 3〜6名 | 6時間〜1日以上 |
| 4LDK以上・一戸建て | 22万〜70万円ほど | 4〜10名以上 | 1日〜数日 |
金額の幅が広いことに気づいたと思います。
1Kでも3万円と8万円では倍以上の開きがあります。
この幅は業者による違いではなく、部屋ごとの事情による違いです。
荷物が少なく、エレベーターがあり、トラックを玄関前に停められる1Kなら下限に近づきます。
逆に、同じ1Kでも押し入れと収納が生活用品でいっぱいなら、上限を超えることもあります。
相場表は依頼先を絞り込むための目安であって、支払額の予告ではありません。
表の金額だけを見て予算を組むと、見積もりを取った時点で足りなくなることがあります。
一戸建ての場合はさらに注意が必要です。
居室だけでなく、物置、倉庫、車庫、庭にも長年の荷物が残っていることが多く、作業が数日に及ぶこともあります。
一軒家で金額がどこまで動くかは、一軒家の遺品整理費用を解説した記事で条件ごとに整理しています。
遺品整理の料金を決める6つの要素
では、何が金額を動かしているのかを整理します。
大きく6つあります。
荷物の量と作業人数
もっとも直接的に効くのがここです。
遺品整理の見積もりでは、運び出す荷物の体積を立方メートル単位で見ます。
量が増えれば、仕分け・梱包・搬出にかかる人数と時間が増えます。
料金の大部分は人件費なので、そのまま金額に反映されます。
間取りが同じでも、住んでいた年数が長いほど荷物は増えます。
20年住んだ1LDKと、3年住んだ2LDKでは、前者のほうが高くなることもあります。
搬出の条件
見落とされやすいのが、建物の物理的な条件です。
次の条件があると、同じ荷物量でも人手が余分に必要になります。
- エレベーターがない集合住宅の3階以上
- トラックを停められる場所が玄関から遠い
- 廊下や階段が狭く、大型家具を分解しないと通らない
- 前面道路が狭く、大きなトラックが入れない
共用部分を傷つけないよう慎重に運ぶ必要もあるため、作業時間も延びます。
見積もりを依頼するときは、階数とエレベーターの有無を最初に伝えてください。
ここを伝え忘れると、当日になって金額が変わる原因になります。
処分する品の種類
何を捨てるかによっても費用は変わります。
とくにエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は家電リサイクル法の対象です。
これらは自治体の粗大ごみとして出せず、メーカーごとに決められたリサイクル料金と運搬料金がかかります。
1点あたり数千円から1万円ほどを別枠で見ておく必要があります。
また、一般ごみの処分手数料は自治体ごとに設定されています。
同じ荷物量でも、物件がある市区町村によって処分費が変わります。
買い取れる品があるか
ここは費用を下げる方向に働く要素です。
まだ使える家具や家電、貴金属、ブランド品、骨董品などがある場合、買取額を作業費から差し引ける業者があります。
実際の支払額がその分だけ軽くなります。
買取を行うには、古物商の許可が必要です。
許可のない業者が買い取ることは法律上できないため、許可番号を確認してください。
特殊清掃が必要かどうか
亡くなってから時間が経っていた場合は、通常の作業とは別の費用がかかります。
体液の除去、消臭、除菌、害虫の駆除などが必要になるためです。
専用の薬剤や機材を使うため、数万円から数十万円が加算されます。
汚れが床下まで達している場合は、内装の解体を伴い、さらに大きな金額になることもあります。
このような現場を自分で片付けようとするのは避けてください。
感染のおそれがあり、装備なしで立ち入る作業ではありません。
地域と時期
最後に、地域差です。
処分場の受け入れ料金や人件費の水準は地域で異なります。
また、引っ越しシーズンや年度末は依頼が集中し、日程に余裕がないと選択肢が狭まります。
遺品整理の見積書で必ず確認する項目
金額の妥当性は、総額ではなく内訳で判断します。
ここを押さえておくと、比較の精度が上がります。
内訳が項目ごとに分かれているか
信頼できる見積書には、次のような項目が分かれて書かれています。
- 人件費(作業人数と作業日数)
- 車両費と運搬費
- 廃棄物の処分費
- 家電のリサイクル料金
- 作業後の清掃費
- 買取額の控除
「作業一式」「諸経費」だけで金額が書かれている見積書は避けてください。
何にいくらかかっているか分からないため、他社と比較できません。
当日に金額が変わったとき、その理由を検証することもできなくなります。
追加料金が発生する条件
追加料金そのものは、必ずしも不当ではありません。
見積もりの後に荷物が増えた場合や、押し入れの奥から想定外の量が出てきた場合は、正当に発生します。
問題は、その条件が事前に説明されているかどうかです。
契約前に、次の2点を書面で確認してください。
- 基本料金にどこまでの作業が含まれるか
- どういう場合に、いくら追加になるか
キャンセル料の条件も同時に確認しておくと安心です。
いつまでなら無料か、それ以降はいくらかを書面に残してもらいます。
見積書のどこをどう読むかは、遺品整理の見積もりで確認する項目をまとめた記事で詳しく説明しています。
自分でやる場合と業者に頼む場合の違い
費用を抑えたいなら、自分で片付けるという選択肢もあります。
1K程度なら、かかるのは自治体の処分手数料、家電のリサイクル料金、運搬用の車両代、梱包資材代です。
荷物量と自治体によりますが、1万円から5万円ほどに収まることが多くなります。
業者に頼んだ場合の半分以下になる可能性があります。
ただし、金額以外の負担があります。
- 大型家具の解体と搬出で怪我をするおそれがある
- 自治体ごとの分別ルールと予約手続きを自分で調べる必要がある
- 平日の指定時間に立ち会う必要がある
- 遠方の実家だと、何度も往復することになる
全部を自分でやるか、全部を頼むかの二択にしなくて構いません。
明らかに不要な日用品を先に処分して量を減らし、大型家具と家電だけ頼む形が現実的です。
粗大ごみの出し方や多量に出す場合の手続きは自治体ごとに違います。
予約が必要な場合や、持ち込みに事前申し込みが要る場合があるため、物件がある市区町村の公式サイトで確認してください。
相見積もりの取り方
適正な金額で依頼するために、いちばん効果があるのがこれです。
2社から3社に見てもらい、同じ条件で比べます。
進め方は次のとおりです。
- 部屋の写真を撮り、間取り・階数・エレベーターの有無をメモする
- 残す物と処分する物のおおまかな方針を決めておく
- 同じ内容を各社に伝え、現地を見てもらう日を決める
- 見積書は必ず書面でもらい、内訳の項目をそろえて比べる
- 金額だけでなく、作業範囲と追加条件を見比べて決める
電話やメールだけの概算は参考にとどめてください。
荷物の密集具合や搬出経路の狭さは、実際に見ないと分かりません。
概算で安く出しておいて、当日に増額するという手口もあります。
現地に来てもらったときは、担当者の対応も見ておいてください。
残す物の希望を聞き取るか、仕分けの方法を説明できるかは、判断材料になります。
そもそも候補をどう集めて絞るかは、遺品整理業者の選び方をまとめた記事で解説しています。
調べていて意外だったのは、金額の差より「作業範囲の差」のほうが大きいことでした。
安く見えた見積もりに清掃も家電処分も含まれていなかった、という比較になりがちです。
依頼する前に知っておきたい注意点
最後に、費用の話から一歩広げておきます。
金額より先に判断が必要な場面があります。
高額請求のトラブルは実際に起きている
遺品整理サービスをめぐる相談は、公的な窓口にも寄せられています。
国民生活センターの発表では、高額な追加料金が発生した、処分しない予定の遺品が処分されたといった相談が紹介されています(出典:国民生活センター公式サイト)。
同じ発表の中で、必ず複数の事業者から見積もりを取り、契約内容と料金を比較するよう呼びかけられています。
その場での即決を求められたときは、いったん持ち帰ってください。
困ったときは、消費者ホットラインの188番から最寄りの消費生活センターに相談できます。
相続放棄を考えているなら手を付けない
ここは費用より優先度が高い話です。
故人に借金があり、相続放棄を検討している場合、遺品の扱いには注意が必要です。
価値のある品を売ったり自分のものにしたりすると、相続を承認したとみなされる可能性があります。
相続放棄を少しでも考えているなら、手続きが済むまで遺品に手を触れないのが安全です。
判断に迷う場合は、弁護士や司法書士へ確認してください。
相続人が複数いる場合も、単独で処分を進めないでください。
遺産分割が決まるまでは共有の財産にあたるため、後から親族間の争いになることがあります。
費用を相続税から引けるかは事前に確認する
遺品整理の費用を相続税の計算で差し引けないか、と考える方は多いと思います。
国税庁が示す、相続財産から控除できる葬式費用の範囲には、火葬や埋葬、納骨の費用、読経料などが挙げられています(出典:国税庁公式サイト)。
遺品整理の費用は、この列挙の中に含まれていません。
扱いは個々の事情によって変わるため、申告の前に税理士へ確認してください。
遺品整理の費用に関するよくある質問
見積もりは何社くらい取ればいいですか?
2社から3社が目安です。
それ以上になると立ち会いの負担が増え、比較もしにくくなります。
見積もりに立ち会えない場合はどうなりますか?
写真や動画を送って概算を出してもらう方法があります。
ただし正確な金額にはならないため、作業当日までに変わる前提で聞いてください。
荷物を減らしておけば安くなりますか?
量が減れば人数と時間が減るため、安くなる可能性があります。
ただし減らした分を自分で処分する費用と手間はかかります。
作業当日に金額が上がることはありますか?
見積もり後に荷物が増えた場合などは正当に発生します。
契約前に、追加が生じる条件と金額を書面で確認しておいてください。
仏壇や写真も一緒に処分してもらえますか?
供養をあわせて手配できる業者があります。
基本料金に含まれるか別料金かは業者で違うため、見積もりの段階で確認してください。
遺品整理の費用のまとめ
遺品整理の費用相場は、間取り別の表で見当をつけられます。
ただし同じ間取りでも、荷物の量と搬出の条件で倍以上変わります。
金額を動かすのは、荷物の量、搬出の条件、処分する品の種類、買い取れる品の有無、特殊清掃の要否、地域の6つです。
見積書は総額ではなく、内訳の項目で比べてください。
「一式」だけの見積書は、当日の追加請求を検証できなくなります。
自分で減らせる荷物を先に処分し、大型家具と家電だけ頼む形も選べます。
2社から3社に同じ条件を伝えて現地を見てもらうことが、結局いちばん確実です。
そして、相続放棄を考えている場合は、費用の検討より先に専門家へ確認してください。
料金や制度は変わることがあるため、依頼の前に自治体や事業者の最新の案内を確認してください。




